シチリア人珍道中

今回書きます珍道中!へぇこ んな人もい るんだぁ〜って感じです。

その珍道中はシチリアの田舎 に住む2人 の男ダニエレ(仮名)とフランチェスコ(仮名)
が 突然ローマにいかなくてはならなく なったのです。
理 由はフランチェスコの奥さんがオース トラリア人で何やら書類の提出の為に大使館に
フ ランチェスコが行くと言い出したのが きっかけでダニエレはめったに行けないローマ
に お供をすることになったのです。

田舎者の2人は飛行機が大嫌 いなので夜 行列車に乗って無事にローマに着き、
そ してシチリアに帰ってきたのですが、 ローマにおいてはかなりの田舎者ぶりを発揮してきたそうです。

彼らは30代後半という立派 な中年。
田 舎の地元では2人とも真面目に働くが 税務署泣かせの自営業をやっている。
ダ ニエレはとても長身で体格が良くその 昔空手をやったことがあり
緑 帯をささやかに自慢としているが彼の お父さんにはなぜか逆らえないという程の恐父家である。
し ばしば奥さんも息子もほったらかしで 仕事熱心なあまり慢性胃炎保持者。

フランチェスコはふと田舎に 住み着いた オーストラリア人の奥さんと結婚し3人の子供がいるが
フ ランチェスコ以外は英語で会話をする ためになかなか会話に入れない。
努 力をして覚えた英語が「ラビッシュ (ごみ)」「ダーティー(汚い)」
と かいった本来の意味として使うのでは なく人や世間に対してこの言葉を使うことを覚え、
ま た彼の家族にも使うのだが、、、彼の 家族には効き目なしの恐妻家。
そ のためか日々たばこの量が増え今や地 元では機関車とあだ名がつくほどである。

そーんな彼らは田舎の町の人 々の「ロー マに行くなんて心配!」という言葉に送り出され、
フ ランチェスコのタバコの煙は実に機関 車かと思わせるような勢いで電車の窓からもくもくと吐かれつつ、
ダ ニエレはタバコの煙でゲホゲホしなが らローマに到着したのである。

フランチェスコはもちろんプ ラットホー ムにつくなり無表情に「コーヒー飲みたい」
と いいながらタバコをふかしはじめる。
ダ ニエレは夜行列車の旅疲れで落ち着い ていた胃炎がシクシクと痛みはじめる。
と にかく朝食を取るなりオーストラリア 大使館に向けて出発したのです。

バス乗り場もたくさんのバス がありすぎ てどれに乗ってよいのか分からずフランチェスコは
「ダ ニエレ!お前ちょっと聞いてきてく れ!」とダニエレに任せ自分はタバコを吸い始める。
ダ ニエレはシチリアの田舎とは違った都 会の動きについていけるはずもなく、
目 を点にしたままボーっっと職を探して いる不法滞在外国人のようにバスターミナルをうろうろする。
そ んな風に気長に一時間を過ぎた頃、彼 を見かねたバス会社の人がダニエレに声をかけてくれ
やっ と大使館近辺を通るバスを見つけ る。
そ の一時間の間フランチェスコは心配す るでもなく涼しげにタバコをすいながら
ダ ニエレを待っていたのである。

無事大使館に着き、フラン チェスコの 持ってきた書類もなんとか片付いたのです。
一 件落着と思いきやフランチェスコは奥 さんや息子に頼まれたお土産を買いに
ロー マの中心を周り、ついでにコロッセ オも見に行った。
フ ランチェスコはコロッセオの前に立ち 相変わらずタバコをふかし
「ふ 〜!」とふかーーーいため息をつ く。もちろんコロッセオに堪能してのため息ではない。
ダ ニエレは普通に観光客らしく感動をし たようだ。
で もそんな2人に共通することは彼らの 奥さんや家族には一切連絡をしないということだった。

時間も気にせずのんびりロー マを周った 2人は再びバスに乗った。
今 度は目的地につくには乗り換えもしな くてはならない。

バスにしばらく乗り、そのう ちバスが停 まりバスの中の電気がチカチカとした
と 思ったら乗客が全員降りてしまった。

そして運転手がなかなか降り ないフラン チェスコとダニエレに「降りてくれ!」
と 言っても降りずに「いや俺達はこの先 まで行かなくちゃいけないんだ!」と言ってきかない。

回送車になったにもかかわら ず降りずに バスは2人をのせたまま出発し、車庫に入って行ったのでした。
し ばらくぼーっっとしていた2人はなん となく様子がおかしいのにやっと気付き、
車 庫のオフィスに向かう運転手に「何で 車庫なんだ!」と完璧田舎者の質問をする。
「1 時間したらまた出発するから」と言 われ安心した2人はそのままバスに監禁された。

バスの張り紙には禁煙と書い てあるがた めにタバコを吸わずがまんしていたフランチェスコは
そ の一時間の間にバスが機関車と化する ほどタバコを吸い、
体 格のいいダニエレは煙にむせかえった ゴリラのようにバスの窓から酸素を求め呼吸をしていた。

一時間後運転手は戻り、タバ コの煙にぶ つぶついいながらバスは出発し無事目的地についたのでした。
そ の夜、なんとかタバコを吸える安い宿 を見つけ泊まったのです。

翌日、またシチリアに帰るた めに早朝駅 へと向かった2人。
毎 日仕事で朝の早い2人はどんなに疲れ ていようと朝は時間になるとぱっと目が覚めてしまう。
昨 日だけで2箱のタバコを吸った記録を 作ったフランチェスコは今日は一体何箱の記録を作るのか?!

早朝の都会はシチリアの田舎 と違って沢 山の人々が行き交う。
私 も東京池袋育ちなのでそれが普通であ るというのは語るほどのものでもない。

田舎でのんびり気ままに自由 にやって、 仕事も客を見て値段をつけたり、
税 金の申告をごまかして税務署を泣かせ るほどの演技をやってのけたり、
そ うかと思えば自分の家族に尻にひかれ るという2人にこのローマのテルミニ駅は
大 きすぎたしもはや田舎者に一泊二日の ローマの旅は彼らの限界なのだろうか?!

電車の時間を聞こうと切符販 売窓口に 行った2人。
窓 口の前は都会独特の待ち列がきれいに できている。
通 行人の邪魔にならないようにロープを はり、その中に切符購入の人々が自分の番を待っている。
販 売窓口に行かなくとも張ってある時刻 表を見るなり、
歩 いている駅員の人に聞くなり方法が あったはずなのに、
フ ランチェスコは相変わらずタバコをふ かしてダニエレに時刻を聞いてこいと命令する。

無実・無知なダニエレはその 混雑してい る窓口へ堂々とロープを超え切符を
買っ ている人のわきに顔を出し、「すみ ません、ちょっと聞きたいんですけど。。。」
と 言うと駅員は無視し、仕事を続ける。

再び今度は大声で「すみませ ん、シチリ アに行く電車の時間を教えてくだ・・・・」
と 言わぬうちに駅員は待っている人の最 後尾を指差しあっちへ行けというので、
待っ ている人の冷たい眼差しを浴びなが ら窓口から離れた最後尾付近に行った。
そ こで並べというのが暗黙の了解という のを無実・無知なダニエレは本当に知らなかったのだろうか、
行 動不審な彼が何をやらかすのだろうと 人々が注目している中皆ぎょっとする、、、、

ダニエレはそこにあった大混 雑用の番号 札の機械を目にして
そ れがてっきり窓口の駅員さんと話せる マイクだと思ったらしい、
前 かがみに思いっきり大声で「すみませ んっっ!!シチリアに行く電車の時間を教えてくださーーーい!!!!」
と マジメに叫んだ!!

言われた駅員はこらえ笑いの 為に顔が赤 くなりでもガマンできずにすぐに後ろを向いて大爆笑!
冷 たい視線を浴びせていた人々も プーーッッっと吹き出す者やら肩を震わせて笑う者、
お かしさにガマンできずその場を離れて 腹をかかえて笑う者、
そ の状況をテンポ遅れで気付いたダニエ レはすごく恥ずかしくなり時刻も聞かずにその場を去ったのです。

そのすぐ近くにいたフラン チェスコはそ んな状況など気付かず、
そ れより減っていくタバコの数を気にし ながらもプカプカ吸い続けていたのです。
ま だ状況の分かっていないフランチェス コをつれダニエレは窓口の駅員さんが時間で
交 代になるのを駅の中のバールで刑事の 見張りのように待つこと1時間半、
そ の間にシチリア行き電車をのがしてし まい、
そ れでもやっと交代した駅員さんに次の 電車の時刻を聞きだすことができ、
シ チリアに帰ることができたのでし たぁ。やれやれ。。。

シチリアの地元の町に無事到 着するなり 2日でタバコを4箱吸ったフランチェスコは
「ダ ニエレッ!お前とは2度とローマに は行かない!」とすて台詞。
ダニエレはそれでも楽しい旅行だったら しくこのローマ珍道中を私の主人に語ったのでした。おしまい。

2004年