エ ンゾの怪しい?妖しい!オバサン事件!



これはエンゾが不意にも巻き込まれた怪しい、そして実に妖しいオバサンの事件のお話である。

彼は真面目に働く典型的田舎の真面目な40歳。あまりに真面目&のん気なので時々だまされたり、ちょっとした事に巻き込まれることが多く、よくネタにさし てもらう。

エンゾが仕事に必要な部品を車で買いに行くので店からでた。
店を出てすぐに、彼の店のある小さな村でも有名なお人好し&超親切&紳士なピッポさん推定78歳に 出会った。

ピッポさんは↑のような人なので特に女性には素晴らしく親切である。
毎日人々に話しかけては楽しく和やかに話しをしたり、親切に相談にのってくれるが、、、、
後始末は結構完璧にできない。
要は始末が悪いことがしばしばなので、彼を知っている人は皆注意したりする。

ということでピッポはこの時も推定80歳と思われるおばあさんと親しげに話していた。
するとこのおばあさんは突然お腹がイタイと訴えだした。
困っていたピッポは車で通りかかったエンゾを呼びとめたのです。


「エンゾ!このシニョーラを村のバス停まで送ってやってくれ!家に帰ると 言っているから!!!」


バス停なら50m先にあるが、年のいったおばあさんが腹痛を訴えているのに見捨てることはできない。たかだかこの先のバス停ま で連れて行くだけだからと車に乗せた。

ここからがエンゾの事件の始まり。。。。。

バス停に着いておばあさんが車から下りるかと思いきや、

「私の家まで送って行って〜!!このすぐ先だからぁ〜!(お腹)イ テテテテ!!」
と始まった。

おばあさんの言う“すぐ先まで”というのは一体どこなのかも分からない。
とにかく痛がっているのだから送って行こうと決めたエンゾ。
しかしどこが家なのかも言わず、今度は「お腹イタイから病院に連れて行っ てー!」怪しくまた妖しくきたもんだ。

「このすぐ近くに市立病院があるからそこに連れて行くからガマンしてくれ!」 うーん親切なエンゾですねぇ。
その時にピッポさんとは知り合いか?とおばあさんに訪ねたら「いんや、あの時ピッポさんと初めて会って立ち 話をしただけ」と普通にいうではないか?!

その時エンゾはやっと自分がお人好しバカだと気付いた、その時には時すでに遅し。
てっきりピッポさんの知人だと思ったから、そしてバス停までと言われたから車に乗せたのに、実は全く知らないおばあさんで、仕事をしなくてはいけないのに 痛がるおばあさんを病院まで送る羽目に。
でも人助けと思ってがんばるエンゾ。

ところが、うーんうーん(汗)と怪しくまた妖しくうなるおばあさんはそこの市立病院でなくて (おばあさんはその私立病院に入院する時は死ぬ時だと信じて行きたがらず、だだをこねたらしい)、車の混雑の激しいカターニアの街の中心にある病院に連れ て行けと指示しだした

そんなに痛いなら救急車を呼ぶと言ったが聞かず、「キエ〜! 痛い!!イタイイタイ!!!」と悲鳴を上げ、よく見る典型的巨体なるそのお腹をさすり出す。だんだん悲鳴も 激しくなりだし、怪しくまた妖しかった

おばあさんの悲鳴を聞きながらパニックに陥りつつあるエンゾの額に冷や汗をかきながら車を必死に運転するエンゾ!!!!
パニックになりつつ幸いにも警察署の前を通りかかったのでそこで警察の手を借りようと車を止めようとした所、このおばあさんは車の窓の外に向かって

「イタイ〜イタイ〜タスケテ〜!!!!」

とものすごい勢いで怪しく、また妖しく叫びだした! それはまるでエンゾがおばあさんを誘拐か暴行でもしたかのように!!!!
エンゾは完璧にパニックに陥った。警察の手を借りる所か、これでは誘拐犯の疑いをかけられる かもしれないと思ったエンゾ。
慌てて警察の前を通り過ぎた!!!!!!!! 
猛スピードで車を走らせるエンゾ!!!!!!!! 
もうどこにも下りようとしないおばあさん。
怪しくまた実に妖しい
!!
(編集注・ななえさん、本当に文章がうまい。 思わずひきずり込まれて手に汗握りながら笑って 読んでしまいます!)



ここで私と主人は非人間的に笑い出した!!!!
警察に助けを求めようとしたのにかえって暴行誘拐犯になるなんてイタリアらしいじゃないですか!!!エンゾは真剣に話すが、大爆笑させてもらっ た!!!!!
ごめんねエンゾ!!

この時エンゾは気付いた。このおばあさんはワザと、しかも悪意がこもった演技をしているのではないかと。
シチリアでは年齢に関係なく子供から老人までこのような手を使って、例えばその人に触ったとか暴力をふるったとか、無実なのにあることないこと話を作って 真面目人間を脅かし、金を脅しとったり、叫びを聞いた近場の人達が出てきてその人達に殴られたりとかいったような事件もあると聞いている。
うかつに真面目な性格もやっていられない時もある。

危機を感じたエンゾは、この車から下りたがらない演技くさいおばあさんをなんとかしなくてはいけないと考え、結局エンゾは人通りの少ない小道に車を走らせた

そこで首でも絞めたのか?!と 期待を寄せる私と主人!
(そんなワケないだろーーー!!と突っ込みお願いします)

サボテンの生えている昼間の暑い日差しの下の小道におばあさんを連れて行って車を止め、まだわざとらしく悲 鳴を上げている妖しいおばあさんの助手席のドアを開け、その巨体を優しくムンズと引きずり出し(エンゾは彼の村でも体格がいいほうなので)

「私をここに置いていく気かい?!ギャ〜!!」

とアニマルのように叫ぶのを後ろ目にエンゾは走り去ったのでした!

その時「あのお人好しピッポにやられた!!!」とブツブツ言いながら(エンゾ!あなたもお人 好しね!)、遅れた仕事の続きをするのでした。
めでたし、めでたし。

このお話はフィクションではありません。
その怪しい、そして実に妖しいおばあさんは無事に帰途についたのでしょうか?
でもあの時本当にエンゾが車から引きずり出していなかったらどうなっていたことでしょう。
犯罪というのはすぐに見分けのつくものもあれば、なかなか見分けのつかない計画的なものまでいろいろ氾濫しています。
この話のようにご老人とは言え、演技に近い行動をされては嫌がらせなのか本当に犯罪的なものかわかりません。でもそこでエンゾは彼の自衛でもって引きずり だすことができたから良かったけれども、本当に何が起こりえるか分からないものですね。
困っている人を助けるのは当たり前と教わっていますが、そんな親切心を利用した犯罪もあると いうことを私は久しぶりに実感しました。が、久しぶりに大爆笑もしました!!!!

2004年9月